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SE飛び込んでくる足音
@「見て下さい! 今、こんなものがっ!」
A「何です、これ?!」
B「調べますか?!」
C「お願いします」
SE バタバタと動き回る足音。
D「どうしたんだ?」
E「まだ何も…」
F「何かわかったらすぐに報告してくれ!」
SE去っていく足音
G「そんな…まさか…」
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さて、皆さんには状況や人物関係その他、わかりますか?(笑)
どのセリフを誰がしゃべっているのでしょう?
男性か女性かくらいの違いは音声でわかるのかも知れませんが、なにがなにやらサッパリわかりません。
そもそも「足音」のSEがある時点で私は「ははぁ、素人が書いたな」と判断します。素人がラジオドラマを書くとやけに「足音」のSE指定が多いものです(笑)
SE(効果音)は、必要最少限(それがなくちゃどうしようもない、というもの)にしましょう。
ついでに言うと多重させるときでも、重ねるSEは3つ以内に収めたほうがいいと思います。
このドラマ、そもそも誰が何をしゃべっているのかわかりません。
書いた人は「声でわかる」というかも知れませんが、まず無理でしょう。初めて聴いた人にはどれが誰の声やらわかりません。しかも場面がやけにバタバタしているようです。
そもそも@〜Gで、明らかに同じ人がしゃべっていると推測されるのは、DとFくらいでしょうか?
それもおそらく「男性」という設定でしょう。
なぜなら日本語のドラマでは男性語と女性語を使い分ける習慣があるからです。
もし書き手がこの人物を女性に設定しているなら、Dは「どうしたの?」で、Fは「何かわかったらすぐに報告して(このあとに「ちょうだい」がつく可能性もある)」となるでしょう。
すなわち日本語のドラマでは言葉遣いで性別を説明しているということが言えます。
そして、なによりこのドラマは「映像的」=「映像がないとわからない」、ということが言えます。
場所もわからなければ「これ」が何かもわからない。どんな人物が登場していて、何をやっている人たちなのかもわからない。ついでに言うと性別もおおよその年齢もほとんどわからない。
すべては書き手だけがわかっている、のです(笑)
日本では「セリフをしゃべりすぎる舞台(映像)」や、反対に「映像が無いとわからないラジオドラマ(ボイスドラマ)=映像的」が多すぎるように思います。
ボイスサンプルはその声優、ナレーターの声質や表現の幅を聴いてもらうのが目的ですから、あまり内容にこだわらなくてもいいとは思います。
しかし、日本語の文章に基づいた「音声のみの表現」なのですから、特にセリフは、説明的にならない、映像的にならないようにしたほうが効果的だと思います。
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