だから「ダメ出し」に対して拒絶反応を起こしやすい。それは普通の反応でしょう。間違ってない(笑)
ただ、「ダメ出し」をする側(演出など)の目的と、される側(俳優など)との信頼関係の程度は重要です。
前回の記事で述べましたが、ダメ出しの目的が
「上下関係を認識させること(=パワハラ)」とか
「性的な欲求を満たすため(=セクハラ)」とか
「自分の価値を周囲に認めさせるため(=自己顕示欲や名誉欲や金銭欲)」だとまずダメですね。
「ダメ出し」は常に「作品を良くするため」でないといけません。
「いい作品」というのは、たとえば演劇の場合であれば、やはりまずは「観客に喜んでもらう」ことでしょう。そして出演者もその作品のために充実して稽古ができて、スタッフもやりがいがあるような企画だと思います。
そういう「いい作品」に向かうためのダメ出しであれば、それが演出と出演者とスタッフの間の信頼関係を生むことにもつながると思います。
その信頼関係があることが大前提ですが、俳優にとって演出からのダメ出しは「作品を良くするため」あるいは狭義には「自分の表現能力を引き出してくれるため」と理解しておれば素直にそれを聴けると思います。
もちろんそのためには、冒頭で述べた「不純な動機の演出」ではないというのが大前提になりますが、演出は「自分の価値観や美意識や都合」にこだわりすぎないことが大切でしょう。
さて、前回の記事からも類推されると思いますが、「演出は演技の専門家」ではありませんし、ましてや「演技の指導者」でもありません。演出は俳優に「演技の見本」など見せられなくてもいいのです。いや、却ってそのほうがいいと思います。
ところが演出の中には、特に、その人に俳優経験があったり「芝居(演技)好き」だと、「つい」やってしまう人がいます(笑)
ははは、実は私もそのクチなのですが、私の場合は「見本を見せる」というより「このとき、この登場人物はどんな気持ちなのかな…」ということを確かめるためにやってしまうのです。それにやはり「演技がスキ」なんでしょう、俳優そっちのけで芝居してしまうことがあります。

こういうのを「踊る演出」と言います(笑)

演出は自分のイメージあるいは具体的な演技を俳優に要求していいのですが、「曖昧」な指摘に終始しないで、できるだけ言葉を尽くして説明したほうがいいと思います。演技者はそれに対してさまざまに思考し、出力(すなわち演技)してきますので、それに対してまた意見を述べて、最終的に演出も俳優も納得および理解できる表現にたどりつくようにすべきだと思います。
これはスタッフワーク(装置、照明、音響その他)についても同様です。
その「作品を良くするため」に演出も出演者もスタッフも互いを尊重し、協力しておれば、きっとその現場はいい現場になることでしょう。
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