ナレーションでも演技でもない授業なのですが、少し学生に読んでもらおうと思っていた文章がありましたので、まずそれを教材にすることにしました。
やや長めの文章なので、ひとり200〜400字くらいになるように割り振りをして、「じゃ、今から5分から10分程度、練習をしてください。あとで読んでもらいますが、その時はナレーションのつもりで読んでくださいね」と申しました。
いわゆる「初見読み」に近い形ですね。
すると、驚くべきことに全員が一斉に自分の担当箇所の「音読」をし始めたではありませんか?!
しかも誰もアクセントを調べようともしません。まあ、それはそれでスゴイことなんですけど(笑)
練習時間を過ぎましたので、読んでもらおうと思いましたが、「これは注意しておいたほうがいいかも知れない」と考えて、読む前にアドバイスをしました。
「初めて見た原稿を、いきなり読み始めてはいけません。まずは黙読です」
これはナレーションや朗読などを習っていらっしゃるかた、もちろん台本を読む俳優さんにも言えることですので、箇条書きにしておきます。
❶まずは黙読する。
❷アクセントや読み方のわからない漢字を調べる。(アクセント辞典だけではなく国語辞典、漢和辞典も携行しているといいですね)
❸意味の切れ目、場面の変わり目をみつけ、そこにたとえば「/」などを入れる。(鉛筆のほうがいいですよ。後で修正できますからね)
❹ゆっくり読んで、意味の確認や意味上発生するブレスポイントのチェックをする。
❺アクセントの不安なところや、新たに読み方のわからない漢字が出てきたら、再度調べる。
❻何度も読んで口慣らしをする。
というような「練習の段取り」が必要です。
さて、このあとナレーションをしてもらいましたが、とにかく速い、速過ぎる!!!
またダメ出しです。
「これはごく普通の文章だし、早口言葉じゃないんですから、そんなにハイテンションに読む必要はありません。しかもそのせいで発音が不明瞭にもなっている。ゆっくり確実に読むことを優先させてください」
それでもそのあと「読み飛ばし」(例:「長きにわたる戦い」が「長き戦い」になったりとか)があったり、「読み間違い」(例:「決戦前夜」を「決勝前夜」とか)に気付かず読み続ける状態が頻発しました(笑)
もちろんアクセントの間違いなどは当たり前です。なにしろアクセント辞典で調べていない。
これは想像ですが、「ナレーションの授業ではない」のでアクセント辞典を持ってきていないのではないかと思いました。同じような別の専門学校では「アクセント辞典は学校に置いたまま帰る」というところもありますね。
それらミスが起きる都度、「いや、それは違う」とか「よく文字を見て」とか「ゆっくり、ゆっくり」というように指導はしたのですがね………
彼らは「早口言葉」ばっかり練習するんでしょうか?(笑)
これから「声の仕事に就こう」とするかたのために。