それぞれの(インク原液というのですかね)インクはあまりキレイじゃありません。でも、それぞれの配合比率を変化させることで多くの、膨大な色の変化を作り出しています。
閑話休題
前回は「喜怒哀楽」といういわゆる「原色と言えるべき感情」でも、それぞれの表現は双方向性を持っているという話をしました。なんとなくCMYKみたいだとお思いになりませんか?(笑)
「それなら演技表現というのは喜怒哀楽の双方向性を検討するだけでいいのではないか」という考えになりそうですが、実はそうではありません(笑)
それについては前回の冒頭で、「人間は感情に基づいて生きているのではない」ということを申しあげています。皆さんもご自分の日々の生活をふりかえればおわかりでしょう?
私たちは感情に基づいて生きているのではないということは自明ですね。
❶日々の生活の中で大なり小なりの何かの問題(課題)があって…
❷それを解決しなければならなくなって…
❸どうすればいいかと考えて…
❹できればこうしたいなという欲求もあったりして…
❺でもああなっては困るなという想像もあって…
❻実際にひとまずやってみて…
❼結果としてうまく行ったり行かなかったりして…
こら〜〜〜!!!

とか
やったぜーーーーー!!

というような展開をするのではないでしょうか?
「感情」は最後です(笑)
すなわち「感情」というのはあくまで結果にすぎないのです。
ついでに言うと、先ほどの❷から❼までの非常に簡略化した「行動」の中の例えば❺のところで「たぶんダメだろうな」という予想があれば❼の結果(感情)にも変化があると想像できるでしょう?
❷〜❻は「行動のプロセス」で、❼は結果です。
すなわち❶の問題提起(起承転結の起)に対してその人間がどのように思い、考え、そして行動したか(❷〜❻)ということによって結果としての「感情」❼はさまざまな「色合い」を見せるということです。
ほらね?
CMYKの話とつながるでしょう?(笑)
演出担当は「自分が予定した結果」を求めるかも知れませんが、その結果につなぐためには俳優の内面的「プロセス(過程)」が大事なのです。プロセスなく結果だけを出す演技はダメですし、そんな演技は、俳優自身やっていても面白くない。
演技は人間の行動を表現したもので、その行動が面白くない作品はダメなのです。
俳優自身が楽しめない作品は哀しいですな〜(笑)
次回は「感情表現」その3として、❷〜❻のプロセスについてもう少し解説してみます。
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