もちろん契約上の制約があって、具体的なソフトの名前は出せないのですが、あれは結構難しい(笑)
例えば、「攻撃系」というような原稿があって、そこには「ハァーッ!」とだけ書かれています。
収録の現場では「じゃ、『ハァーッ!』で、何パターンかください〜」というような指示があって、マイク前でそれをやります。
私は、たいていそういう場合は20パターンくらいは最低でもやります。
さらに「攻撃系」で「フンッ!」というのもあり、これも20パターンくらいはやります。
「ハァーッ!」
「フンッ!」
「トリャーッ!」
「フワッ!」
「キェーッ!」
などが「攻撃系」にあって、それぞれ20パターンですから、100くらいの表現をやります。
次に防御系があって、
「グッ!」
「フヌヌヌ〜〜〜〜!」
「フワッ!」
「ウグググ…」
「オオオオオオ…グググググググ…」
などもそれぞれ20パターンくらいの表現があります。これも100種類くらいです。
そして、それら以外にもいわゆる「セリフ」もあります。
「いよいよ決着をつけるときか? あん?」
「ゴタクを並べてんじゃねぇよ! 行くぜっ!」
「よぉ〜、おメエさんもよっくここまで来られたもんだぜ〜」
「ここで屍を晒しやがれッ!」
「受けて見よ! ○○○(←必殺技)〜!」
なども言います(笑)
これから声優などになろうと思っていらっしゃる皆さんには憧れの現場かも知れませんね?(笑)
でも、これが結構むずかしいんです!(涙)
こういう実習を専門学校などの授業でも生徒にやってもらうことがありますが、まあ、5つほど表現(この場合は「単なる言い方」)を変えられたらいいところですね。続けさせると6つ目からは「さっきと同じじゃん〜」という状態に陥り、そのうち無言になってしまいます。
私は自慢じゃないけど、ひとつのセリフで40〜50くらいは表現を変えられます(笑)
え?
どうしてやるのかって?
基本的には「演技」=想像力です。
たとえば「攻撃を受けた=防御系」の声を出す場合を参考に説明しますが、私の場合は足元から想像します。
つまり……… う〜ん…… 何にしようかな〜……なんでもいいけど……
じゃあ、「金槌」にしましょうか?
「金槌で足の親指の付け根を殴られる」ことを想像します。
想像すれば何らかの声が出るでしょう?
次にその足の甲をやはり金槌で殴られたところを想像します。
次は足首を…
そして「すね」(弁慶の泣きどころ)を…
膝…
膝の裏…
太もも(これは筋肉だからそれほど痛くないかも)…
男性の急所…
下腹部…
わき腹…
尾てい骨…
腰椎…
背中…
肩…
腕…
手指…
首…
耳…
目…
鼻…
後頭部…
側頭部…
頭頂部…
眉間…
それぞれを「金槌で殴られた」という想像をします。以上で20か所以上になるはずです。
もっと細かくダメージを受けた個所を「想像」すればもっと多くの表現ができるはずです。
また凶器(?)を「金槌」ではなく相手の「拳」に置き換えてもまた変化が生まれるでしょう?
あるいは「こん棒」とか…
「言い方」を考えてもできるのはせいぜい5〜6種類です。
人間の「想像」は無限に近いものです。
演技をするときは「言い方の工夫」ではなく「自分の想像力」に頼るようにしましょう〜(笑)